「器」の話

採用担当者BLOG

「企業は、社長の器以上には大きくならない」

昔から多くの企業経営者や評論家などに使い古された言葉です。でも、本当にそうでしょうか?というのが今回の戯言です。

「企業は、社長の器以上には大きくならない」って、誰が最初に言い出したのだろう。

最も有名なのは、京セラ創業者の稲盛和夫氏が、当時の日本航空(JAL)の再建を託され、僅か2年半で再上場を果たした時の週刊誌のインタビューの中で、「会社、組織はトップの器以上の者にはならない」と語った言葉。その後に続けて、「立派な会社や組織にしたいならば、まずリーダーが、自分の人間性、人格を高めることが何より大事、経営を伸ばしたいと思うなら、心を高めなさい」と語られています。更に真意を尋ねた記者に対して、「問題に直面した時に、判断し、決断するのが会社のリーダーです。いろんな戦術・戦略がある中で、何を取捨選択して会社を経営していくかは、リーダーの価値観、もっと言うと判断基準にかかってきます。ですからリーダーというのは、フィロソフィ、つまりその人が持つ哲学が立派なものでなくてはなりません。」と答えています。

この時は、再建事業のトップに立ち指揮命令を発したのは稲盛氏であり、稲盛氏の経営の神様としての器(能力)でJALは甦ったように世間は捉えました。しかし、稲盛氏の叱咤激励を受け止めて各現場の長がやり遂げたからこそ再生した。つまり、トップ(リーダー)の器を支え、磨き上げた人達がいなければ成されません。

だから、「会社、組織はトップの器以上の者にはならない」の後に、『(トップの)器を支えて、磨いて立派に輝かすか、支えず、磨かずボロにするか、トップ下の人達次第』と言うのも付け足しておく必要がありそうだ。そうじゃないと、会社や組織が発展しない理由の全てに、「トップが悪い」という最悪の逃げ口上を与えてしまうから。

そういう時代、なのでしょうけど、熱く語れる上司・リーダー・先輩がいなくなって来たね。熱く語られたら「煩い!」って嫌がられる。嫌がられる(嫌われる)のがイヤだから強いリーダーになんてなりたくない。ま、いいですよ。そういう考え方もアリでしょう。当たり障りなく無難にこなす。でもね、会社には複数人の強い指導力を持つリーダーが必要で、そのリーダー達には社長の言葉に忠実過ぎるイエスマンにはなって欲しくない。社長の指示を100%忠実に実行するようなリーダーじゃなく、社長の指示以上の事を自分で考えて凄い成果を上げてくれっていう話です。そしたら、社長が経営の神に近付くよ。さっさと神に祀り上げてやらないとね。うちの社長もそういう年齢だから。

ところで、なーんでトップでも何でもない”ただの人”がこんな戯言を書いている?(笑)