
ESS商談(SES/エンジニア派遣)の場で、しょっちゅう目や耳にすること。「一人称で動ける人」。
この場合の一人称は「私」とか「僕」とか「俺」とか・・・ではなく、『誰かの手を借りずに(設計~プログラミング~テスト、などの各工程、或いは全工程で)一人前の仕事が出来る人。』にプラスして、『指示待ちの姿勢じゃなく自発的(能動的)に動ける人。』
つまり、新人だろうと何だろうと、金払うんだから一端の仕事をやってくださいよ。という注文ですね。
これ(一人称で働く)が、ESSを事業の柱とする中小零細企業に就職した人がスグに辞めてしまう最たる悪因。
新人さんとか経験浅の人が、そんな働き方を出来るわけないじゃんね。エラそうに「一人称で!」と注文付ける発注側の誰かにしたって、若い頃は手取り足取り教えて貰ったでしょうに・・・
エンジニア不足を言われている昨今、企業規模はさて置き、IT業界で食っていくぞ!と就職した人たちが、その言葉によって働く場を狭められていくことはちょっと哀しい。って言うか、折角採用した社員をそのような理不尽な言葉で傷つけられることを守れない会社はダメだね。不肖私も(当社も)、過去に採用したエンジニアを、その言葉から守れなかったことは有ります。だから、今書いた「・・・守れない会社はダメだね」の部類に間違いなく含まっていた。
(ほぼ、中途採用者に限る話ですが)過去の当社は、”一人称で働けない”性格のエンジニアでも、何とかしよう、何とかしてやろう、みたいな思い上がった(甘い)考え方を持っていた。中途採用、つまり何らかのシステム開発経験者を採用するわけですから早い段階で(案件稼働して)成果を出してくれることを期待します。が、指示待ちエンジニアは早々に(契約を)「切られる」。それを繰り返す。
仕事のやり方(技術的な事)は教育で変えられても『性格』ってなかなか変わらない。怠け癖が抜け切れない人や飽きっぽい人に比べたら、一人称云々程度は「大丈夫!」だからこそ、早く一人前のエンジニアに育て上げないとならない。・・・なんて”思い上がり”の堂々巡り。
結果的には、粘り強く場数を踏んで後進指導も出来るような社員に育った人もいれば、業界を去った人もいる。前者ばかりならいくらでも採用するけど、後者を作り出すことは辛い。だから、中途採用には慎重にならざるを得なくなった。おかげ様で、物凄く離職率の低い会社になったけど、速い話、採用数を減らしただけ(苦笑)
中途採用は慎重に構えているけれど、新卒者や未経験者に対してはそうじゃない。経歴が無い分、人物重視(面接最重視)で判断出来る。人の性格は教育では変えられないことは社として学習済。性格的な向き不向きは面接時にしっかりと責任持って見極め、信頼に足ると判断したら採用する。それこそ、技術的な部分は時間をかけて社内教育すれば事足りる。
新卒者、業界未経験者が一人称で働けないなんて当たり前。そもそも、ポツンと一人で働かすなんて有り得ない。当社が信頼して入社して頂いた社員を、他社から「一人称で・・・」云々かんぬん言われる筋合いは無いんだよ。そういう相手からの仕事は請けない。ただそれだけのこと。